ミラクルボーイ

あけましておめでとうございます。今年もゆるりとした更新速度になるかと思いますが、よろしくお願いいたします〜。
見に来てくださった方、スターをつけてくださった方、ありがとうございます…!

新年一発目にしてウルトラ今更パワー全開エントリですが、「MIRACLE デビクロくんの恋と魔法」がとってもよかったという話。


ミラクルラブストーリーというリア充バッチコイな触れ込みのこの映画ですが、個人的にはそれだけじゃなくて、「黄色い涙」ともつながるなにかがあるなあと思いながら見ていました。相葉さん演じる光が描いている漫画、作画が関口シュン先生ですし。

書店員として働きながら、プロ漫画家デビューを目指し自宅ではせっせと原稿用紙に向かう毎日を送っている光。勤務先では本社異動を勧められたり、創作した漫画はアマチュアが集う即売会でこまめに発表したりと、どっちもきちんと真面目に取り組んでいて始終好青年な印象です。
その即売会で売っている漫画というのも、見るからに優しいタッチで余白も多い作風になっています。読者や周りの描き手仲間からは癒し系とか言われてそう。普段の彼のキャラクターとも似通っているので、これが素なのかな〜と思わせる感じなのですが、本当はデビクロ通信という自虐や悲しみ、ネガを含んだ作品を描いては深夜の街中にそれらをばら撒き、貼りつけ、内なる闇を発散させてもいたっていう。なかなかにスパイシーな面も持ち合わせていました。
ただ、そもそもの性格がいいひとなので通信の内容もパンクすぎないというか、自分だけの傷をそっと見せるようなものになっているのがなんだかんだずるいなあと思います。闇なのに、ひとを傷つけないんですよ。(街中に無断でばら撒くのは迷惑行為ですが)
このへんもひっくるめて相葉さんはこの役にぴったり、って周りから言われまくってたのかと思うとなんかもうたまらないです…!

光について当の相葉さんは、実は「諦めるより、続けているほうが楽」「ちょっとなあなあになりながら描き続けている」という捉え方で演じていたと知り、かなり驚きました。でもこれ、すごくよくわかる。ほんとにそうなんですよねえ。竜三ほどあからさまにだらしなくないけど、栄介ほどストイックでもないっていう。手(身体)は動かしているから何かやっている気になる感覚。現状維持のつもりでいて、ゆるやかに下降しているかもしれない、危うさ。正直、こんなリアルな視点を彼が持っているとは思いもよらず、インタビューを読んで震えました。すみません相葉さんほんとかっこいい。

かっこいいといえば、本編のビジュアルもすばらしくよろしかったので、最後まで楽しく見られました。短めに揃えられたストレートヘアに、白シャツ、カーディガンやニットのほっこり重ね着、おまけにシックなスーツ姿と正統派冬ファッションを次々着こなす相葉さんにときめきが止まらなかったです。

作中でいちばんぐっときてしまったシーンは、杏奈がソヨンのきれいに手入れやネイルをされた手元から、ふと自分のそれに目を移すところでした。
オブジェ作家として昼夜問わず働き、大胆な手作業も多い杏奈にとってはネイルはおろか、髪を整えに行く時間もありません。ただ、たとえあっても、そういうことに常々興味を持つ子のようにはあんまり思えませんでした。
このときちょっとだけ憧れたのは、ネイル自体じゃなくて、それが普通にできるひと、環境だったのかなあとか。自分がほんの少しだけ変わった道を行っていることがこのときばかりは妙にざらついて感じられ、一瞬自信が揺らいでいるように見えて無性に切なくなってしまいました。
なので光が杏奈の手を取り、優しく包むラストがとってもとっても好きです。
犬童監督の、どんな道を行くひとも決してはねのけない描き方をされるところ、いいなあと思います。個人的に抉られるなって思うのと同じぐらい、救われるような気持ちでもありました。
光と杏奈の2人の形がゆっくりできていく様がとても素敵だったので、北山・ソヨン側を掘り下げたエピソードももっと見てみたかったなー。2人の熱い演技すごくよかった!

あと「泣いてもいいよ。ボクがわらう。わらってもいいよ。ボクもわらう。」は私がアイドル(相葉さん)に求めていることとどんぴしゃなんだと、この映画を見てはっきり気づかされました。



色塗りでいつもコレジャナイになってしまうんですが、描いて上げるのも修行ということで…
久々に絵が描けて楽しかったです!